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「外反母趾をはじめ、足トラブルの対策としてもっとも重要なのは“インソール”」というのは、整形外科医で「お茶の水整形外科」院長の銅冶英雄先生。パンプスだけでなく、ランニングシューズやトレッキングシューズにも、インソールを入れるか入れないかでは、パフォーマンスが大きく変わるという。インソールの正しい選び方のコツを銅冶先生に伺った。

足は体を支える土台、ここが崩れると体調にも影響する

足は細かい骨が重なり合う繊細なパーツ。骨と靭帯や筋肉が連携し合って、縦と横に立体的なアーチを形成している。

「このアーチがあることで、重い体重を支えて、バランスよく立つことができ、さらに地面からの衝撃も吸収するのです。ところが、体質や加齢、生活習慣などでアーチが衰えて低くなっている人がとても増えています。しかも、多くの人が“なんだかおかしい”と思いながらも、疾患を見過ごしています。それによって外反母趾をはじめ、体形の歪み、腰痛、ひざ痛などさまざまなトラブルが発生するのです」

特にランニングなど、運動をするときアーチが衰えていると、故障もしやすいと指摘。

「着地の衝撃から足底筋膜炎を起こし走れなくなってしまうことも。一時的に炎症が引いても、アーチをケアしなくては何度も再発します」

ベストな対策はオーダーメードのインソールを入れること!

アーチをケアするには、靴のインソールを変えて、アーチを人工的に作ることが大事だと銅冶先生。でも、パンプスでインソールを入れるのはデザイン的に難しいのでは……?

「パンプスにインソールを入れると、厚みが出るので難しいと思っている人もいますが、最近は薄手のインソールも出ています。理想は、自分のアーチのトラブルに合わせたオーダーメードです。オーダーの場合は、崩れたアーチの形に合わせてサポートできるというメリットがあります。私のクリニックでは、足型を採って作るオーダーメードの場合、保険適応なので3割負担で1万2000円になります。パンプスでも入れることは可能です。この際、みなさん大きめの靴を選んでインソールを入れがちですが、これはおすすめしません。靴に元から入っているソールを外して、インソールを入れるとちょうどいい形になりますよ」

外反母趾の兆候がある人、また、ランニングやトレッキングなど足を酷使している運動をする人は、オーダーメードのインソールは大事だと銅冶先生はいう。

「運動中は、足への衝撃も強まります。しかも長距離走ったり、歩いたりする場合はその負荷も大きくなります。故障を避ける意味でも、きちんとしたインソールを入れることを検討するといいかもしれません」

まずは、手作りインソールを試してみて

インソールを入れるとどれぐらい足に負担がなくなるか体験する意味でも銅冶先生がおすすめしているのが、簡易的な「“ドウヤ”メソッド軍手インソール」。作り方はとても簡単。

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①中敷き(インソール)が取り外せる靴、滑り止め付きのイボつき軍手、セロハンテープとハサミを用意。
②インソールを靴から外す。軍手の小指の指先を2センチほどカット。
③インソールを裏返して、切った軍手の指先を、インソールの中指2cmかかと側に、セロハンテープで貼り付ける。
④インソールを靴に戻して、試し履き。足のアーチの状態など、違和感がないか微調整しながら自分にベストのアーチの位置や高さなどを見つけていく。もう少し高さを出したい場合は、軍手を重ねて貼り付けるといい。

簡易的な方法なので、調子がよければ自分にあったソールを作ることを検討してみるといいかもしれない。



Photo: Getty Images Text: Manabi Ito

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銅冶英雄先生
整形外科医

お茶の水整形外科機能 リハビリテーションクリニック院長。1994年日本医科大学卒業後、千葉大学附属病院、成田赤十字病院、国立がんセンター中央病院などに勤務。海外留学などを経て、2010年、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニックを開院。長年腰痛に悩まされた経験を生かし、独自のメソッドを開発。『4万人の腰部脊柱管狭窄症を治した! 腰の痛みナビ体操』(アチーブメント出版)、『腰痛治療「0分」革命!』(主婦と生活社)など著書多数。