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この一見無害にみえるものがダイエット停滞の要因かも。
数百カロリーもある甘い物を食べるくらいなら、人工的だけれど罪悪感のない炭酸飲料のほうがまだいいのでは、と思いながらダイエットドリンクを飲んでいる人は多い。

そして、多くの人が常にダイエット中だから、いわゆる「ダイエット」飲料と呼ばれるものに魅力を感じてしまう。その内容をUK版「ウィメンズヘルス」からご紹介。

ダイエットドリンクの問題

ダイエットドリンクの問題点は、「ダイエット」という言葉にとてもパワフルな、ほっそり、健康的、コントロールされたというイメージがあるため。

でも、ダイエットドリンクは本当にほっそりしたいという人の役に立つのか?ダイエットコーラは水や葉物野菜と同じようにカロリーのない食品として分類されて、ダイエットコーラ分のカロリーは気にしなくていいとされている。でもいくつかの科学的根拠を見ると、スクラロースやアスパルテームなどで人工的に甘みをつけた飲み物をそうやって許容するのはあまりよくなさそう。

栄養学の専門誌、「American Journal of Clinical Nutrition」に発表された研究によると、毎日ダイエット炭酸飲料を1リットル飲んだ人は、6ヶ月後には1.5kg体重が増えたという。砂糖が入った通常の炭酸飲料を飲んだグループは10kg増えたそうなので、確かにダイエット飲料の方がインパクトは少ない。でも、もしこのダイエットドリンクがカロリーも砂糖もないのなら、なぜ体重がそもそも増えたのか?

では、ダイエット炭酸飲料は身体によくないのか?

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この問いに対してはこれ、という唯一な答えはない。ただ、カリフォルニア大学の内分泌の専門家でアンチシュガーのキャンペーンを行っている、ロバート・ラスティングは、人工的な甘味料を摂取することで、身体の生化学を変えてしまい、脂肪をため込みやすくしてしまうのではないかと考える。

「ダイエットソフトドリンクによって体重が増えたのはカロリーが増えたからではなく、インシュリンの値が増えたから」と説明する。膵臓で作られるインシュリンは炭水化物に含まれる糖質やグルコースを体内でエネルギーに変えるもの。でもエネルギーとして使わず、将来のために溜め込むこともある。私たちは血中のインシュリンの値が高ければ高いほどカロリーを脂肪としてため込むこと分かっている。とラスティグ氏。つまりインシュリンの値を上げるものはなんでも体重増加の要因になるということ。

実際には本物の糖質は含まないので、人工甘味料の入ったダイエットドリンクはインシュリンの値が上がらないはず。でも「Diabetes Care」という糖尿病の専門誌の研究によるとそうではないそう。研究では対象者を2グループに分けて、半分にダイエットドリンクを与えたそう。その後、グルコースとインシュリンの値を調べたところ、人工甘味料の入ったダイエットドリンクを飲んだグループの方が20パーセントもインシュリンの値が高いという結果になった。

なぜか?これは身体が甘い物を感知するようにできているからだという。つまり、なにか甘い物が舌で検知されると、特別な受容体が反応して信号を送ってしまう。

人工甘味料VS砂糖

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砂糖を摂らずに、人工甘味料の入った飲み物を飲むのは、実は身体をだましていることになる、とラスティッグ氏は言う。「砂糖をカットすることは、甘いのを食べない感覚を覚えさせることがポイント。でも、人工甘味料の入った炭酸飲料を飲んでいると、結局甘いものを食べる感覚にしているのと同じ」と警告する。

シドニー大学の実験によると、ネズミやハエに人口甘味料を加えたエサを与えていると、甘さとエネルギーのバランスが崩れてしまうという。これは、脳が甘さを感知しても、カロリーがないことに気づくと、予測していたカロリーを補うため、もっと食べろと信号を出してしまうため。もちろん人間の場合の研究はさらに必要だが、これは一つの示唆。

では、判定は?

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人工甘味料が健康にどう影響を与えるかについてはまだ分かっていないことも多い。たとえば、ガンや脳卒中との関係などの研究はあるが、まだ観察研究の段階だったり、ヒトではなく動物への実験の結果のことも。そのため、明確な因果関係があるとは言えないそう。

ただ、ダイエット飲料の多くは、骨密度を減らすリスクがあるとされるリン酸が含まれることも多いので、できるのなら飲む量は少なくした方がよいと臨床栄養士のリック・ミラーは話す。

ダイエットドリンクとさよならするには

ダイエットドリンクをやめたいのなら、まずは飲みたいと思ったらなぜ飲みたいかを考えて。本当にそれを飲みたいのか、ちょっと一休みしたいだけなのか自分に聞いてみて。

炭酸飲料をやめるのは、ろくでもない恋人と別れるのに似ている。いなくて寂しいと思うかもしれないけれど、それは必要なものがないからではない。もともとはなくても大丈夫だったのに、そのためのスペースを作ってしまって、そこが埋まっていないだけ。

そのぽっかり空いたスペースは、埋めたくなるけれど、確かにただの水道水ではむずかしい。そんな時はハーブティーやデトックスウォーターなどがおすすめ、とミラー氏。あとは、抗酸化作用のあるビタミンを摂ってみて。食事と食事の間にお腹が空くのなら、食物繊維を摂るのも一つのアイディア。

※この記事は、UK版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text:Roisin Dervish-O'Kane Translation:Noriko Yanagisawa Photo:Getty Images