その皮膚のかゆみ、皮膚炎かも?
スキンエキスパートのアニータ・ツアーンハム医師が、皮膚炎の実態、症状、治療法を教えてくれた。
スキンエキスパートのアニータ・ツアーンハム医師が、皮膚炎の実態、症状、治療法を教えてくれた。
ツタウルシに触れた時のような、ヒリヒリとした痒みを伴う硬くてうろこ状の肌。これこそが、皮膚炎を患った人が耐えなければならない苦しみ。いっそのことヘビのように脱皮してしまいたいのに、水膨れになるだけ。
残念ながら、イギリス人の10人に1人が皮膚炎を抱える理由は一つも見つかっていない。脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、口囲皮膚炎と、皮膚炎には複数の種類があるので、原因の特定はなおのこと難しい。
でも、優秀なスキンケア商品で顔や体の痒みを抑えることは可能。Nuriss Clinicsを設立した総合診療医兼皮膚科医のアニータ・ツアーンハム医師が、女性が皮膚炎にかかる理由と一番の緩和策、そしてキレイな肌を取り戻す方法を教えてくれた。
皮膚炎とは?
皮膚炎は、皮膚の炎症によって起こる一般的な皮膚疾患。皮膚炎にはいくつかのタイプがあるが、どれもアレルギー源か刺激物に反応して起こるもの。
皮膚炎の原因は?
疫学研究によると、敏感肌に悩む人の数は過去30年で35%も上昇しており、2つの仮説がこれを説明している。まず、人間の診断能力が向上しているという説。
そして、人間の体が以前より多くの毒素やアレルギー源にさらされるようになったという説。これらの免疫誘発物質は食事やスキンケア商品に含まれることもあれば、喫煙や飲酒といったライフスタイルの変化や環境汚染によってもたらされることもある。
私たちの免疫システムは、負荷がかかりすぎて限界の状態。その証拠にアトピー (アレルギーを起こしやすい肌) が増加しており、これが敏感肌発症率の上昇を引き起こしている可能性がある。
食物アレルギーや食物不耐性を抱える人の多くには、影響を受けやすいアレルギー源を含む物を食べた時に発赤や腫れといった皮膚の変化が現れる。
同じアレルギー源を直接皮膚に乗せた場合、皮膚反応または皮膚炎を引き起こす確率が高くなる。例えば、ナッツアレルギーを持つ人がアーモンドを含む商品を肌に使ったり、小麦アレルギーを持つ人がトウモロコシオイル由来のビタミンEを肌に塗ったりしたケースが当てはまる。
女性の敏感肌発症率は、男性よりも少し高い (女性51%に対して男性46%)。しかし、敏感肌は年齢や肌タイプを問わず発症する。また、紫外線によって炎症が誘発される可能性があるため、夏は肌がより敏感になると言われている。
アレルギーや不耐性は、皮膚にどう現れるのか?
俗に皮膚炎として知られる皮膚反応には、主に2種類ある。
1.刺激性皮膚炎
化粧品が皮膚に悪影響を及ぼすことで引き起こる皮膚反応。例えば、石鹸の使い過ぎやアルコール系商品の使用で肌が赤くなったり、乾燥して敏感になったりする。
2.アレルギー性皮膚炎
感染症と戦うはずの免疫システムが、時々相手を間違えてしまうことで引き起こる皮膚反応。スキンケア商品の成分に反応するのがその一例。
アレルギーを発症するには、そのアレルギー源に最低でも一度、通常は何度も接触する必要がある。つまり、今までずっと問題なく使っていた何かに突然アレルギー反応を示すこともあり得るということ。皮膚アレルギーが人生の後期に現れることが多いのもこのせい。
アレルギーの発症プロセスは明らかにされていないが、一度発症したアレルギーは大抵一生もの。
皮膚炎かどうかを知るには?
皮膚炎には、以下のような症状がある。
●痒み
●灼熱感
●刺すような痛み
●みみず腫れ
●発赤
●炎症
●でこぼこした肌
●かさついた肌
●ニキビ
●くま
皮膚炎ではないかと不安に感じる場合には、自己診断に頼らず、専門医に相談するのが一番。
Text: Natalie Lukaitis Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images
手の皮膚炎
英国皮膚科協会によると、20人に1人が手の皮膚炎を抱えているそう。「幼年期に湿疹 (アトピー性湿疹) を患った人と、水に触れる機会が多い仕事に就いている人は、手の皮膚炎にかかるリスクが高い」 という。
特定の石鹸、洗剤、香水、ゴムまたは革はみな、手の接触性皮膚炎を引き起こす可能性がある。他の皮膚炎と同様、アレルギー反応を起こした肌は熱くザラザラしたうろこ状となり、痒みと痛みをもたらす。皮膚が泡のようにデコボコしたり、割れたりすることもあるかもしれない。
一日に何度も効果的な保湿クリームを使えば、ダメージを受けた外皮の修復をサポートできる。でも、手の皮膚炎が疑われるなら、医師に相談し、炎症を起こした肌を落ち着かせるステロイドクリームを処方してもらうこと。
皮膚炎にかかったら避けるべきものは?
肌に刺激を与えるビーズや、穀物のようなスクラブまたはフェイシャルブラシを使った過剰な角質除去は避けるべき。パラベン、人工香料、硫酸塩を含む商品もアレルギーを引き起こしやすい。泡の立つ商品にも近づかないこと。肌の水分を奪う刺激の強い化学物質を含むことが多い。
少数ではあるが、食物アレルギーを抱える人の中には同じアレルギー誘発物質を含む商品を使うと皮膚炎を発症する人もいる。例えば、グルテンアレルギーの人が小麦胚芽の洗顔料を使うケースがこれに当たる。
このような場合には、小麦、乳製品、大豆、ナッツといった一般的なアレルギー源不使用のスキンケア商品を探してみよう。パイスキンケアは、このニーズを満たす商品を提供している。
皮膚炎を抱える人におすすめのスキンケアは?
洗顔料
肌にやさしいクリームやジェルを使おう。石鹸や泡の立つ商品は避けて。
化粧水
肌のバランスを整え、美容液が深くまで浸透するのを助ける、水ベースで抗酸化力の高い化粧水を選ぼう。
美容液
高い保湿力で肌を元気にする美容液を使うこと。アンチエイジングにはペプチドとヒアルロン酸、美白にはαアルブチン、ビタミンBとビタミンCというように、肌の悩みに合った成分を選んで。
夜は、肌にやさしく保湿力の高いクリームを。アロエ、アボカド、サンフラワーオイル、モノイタヒチオイルなど、皮膚を柔らかくする栄養価の高い天然成分をたっぷり含んだ商品は、肌の水分レベルを元に戻してくれる。
一般的に、美容商品に含まれる成分が飲食に適していると思えるなら、皮膚にも効果が期待できる。セージ、パパイヤ、キュウリ、アロエ、オレンジの抽出物といったナチュラルな成分を探してみよう。
皮膚がますます敏感になるのを防いだり、そもそも発症自体を抑えたりするためにできることは?
敏感肌は食生活でコントロールできる。数多くの研究結果が、グルテンや乳製品といった炎症促進性の食べ物を減らせば、炎症性の皮膚疾患を軽減できることを示している。糖分の高い食事も肌状態を悪化させるので、加工糖の摂取は控えよう。
喫煙は今すぐやめること! タバコに含まれる化学物質とニコチンは皮膚に悪影響を与え、細胞ダメージの速度を上げるので、皮膚がますます敏感になると同時に早期老化にも繋がる可能性がある。
最後に、適切な水分補給を。体の75%は水分なので、皮膚細胞を含む体内の細胞プロセスの一つ一つが豊富な水分を要する。1日2.5リットル (エクササイズをする場合や暑い環境にいる場合はもっと) の水を飲むよう心がけ、カフェインやアルコールといった脱水作用のある飲み物は最低限にとどめよう。