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冬は日照時間が短く、寒くてうつ症状が出やすい時季とも言われている。また、年末年始の慌ただしさで、ついつい無理をして体も気持ちも余裕がなくなりがちだ。そんなシーズンだからこそ、心と体にも目を向けておきたいもの。昨年の12月、最終回を迎えた人気ドラマ『獣になれない私たち』でも主人公や登場人物の心の翳りがネット上でも話題を呼んだ。今回はうつ症状のケアについて引き続き、青山すみれクリニックの坂本里江子先生にお話を伺った。

「うつっぽいかも」と思ったら、病院に行くよりも“まずは休む”

前回、坂本先生が挙げてくれた「うつかもしれない」と思ったときの3つのチェックポイントを、まずはおさらいしよう。

①眠れない……なかなか寝付けず、睡眠時間が短いのはもちろん、朝スッキリ起きられず一日中なんだか眠い日が続く、という場合

好きなことが出来なくなる……今まで好きで必ずやっていたことが出来ない。例えば、大好きだったネイルをするのも面倒。買い物好きだったのに、どこにも出かけるのがおっくうなどの場合

毎日やっていた日常のルーティーンが出来ない……会社に行けない。顔が洗えない、お風呂に入れないなど、“毎日当たり前に行っていたこと”が出来なくなる場合

これらの3項目のうち、どれか一つでも当てはまる症状があったら、即病院に行くべきというわけではない、と坂本先生は言う。

「もちろん、とてもつらいというときには心療内科や精神科を受診することも必要です。でも、まずこういった症状があったら、一番最初に選択すべきは、“休息”です。多くの女性の方を診ていますが、みなさん共通しているのが、“休息するのが苦手”ということです。

上の3項目に該当する場合、心にも体にも疲れが出ているので、しっかり休みましょうね、とお伝えしても、上手に休めない方がとても多いですね。例えば、仕事を休んでも携帯電話やパソコンを常に見ているので、業務の連絡が入ってしまい、結局仕事が気になってしまう……。家にいてもSNSを見てしまい、周囲の動向が気になって休んでいても心がざわついてしまう、そんな人が多いようです」

休むときは、「全てを完全オフ」にすることが大事

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12月に最終回を迎えた人気ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)で、女優の新垣結衣さんが演じる主人公の晶が、パワハラ社長からLINEメッセージが連続して来るシーンが描かれていた。

土日も、思い切って休暇を取った日も社長からの業務連絡は止まらない。既読にしないと罵倒されるため、仕方なく見てしまい、見てしまえば休みなのにその対応に追われる。まるで携帯電話という足かせがついた業務地獄だ。主人公はストレスを感じながらも、業務をそつなくこなし、でも、気づくとホームのギリギリをふらふらと歩いていて、あわや電車と接触、という場面も……。

このドラマを見ていた女性たちからは、「まるで自分のようで見ているのがつらい」という声も多かったという。

「10年前、20年前と違って、今はオンラインで業務連絡も出来てしまうため、気をつけないと四六時中仕事モードになりがちです。このドラマの主人公のようなハードな業務体制で心が疲れてしまう方も少なくありません」と、現代ならではの仕事環境について坂本先生は指摘する。

「これは仕事だけではありません。人間関係もネットが主流になっているので、常にSNSが気になって、休日も心が休まらないという人がとても多い。しかも、そのSNSがストレスの原因になっていることも少なくないのです。そういう意味からも、休むときは、とにかく何もしない。出来れば1時間でも2時間でもいいので、携帯電話もパソコンもオフにしてSNSもネットも見ない。ひたすら、ただダラダラする日を作ることが大事です」

最初は、ネットにつながっていない自分に不安を覚えるかもしれない。常につながり、常に気を使う環境からまずは自分を切り離して、心と体をリラックスさせることから始めてみよう!

次回はネットやSNSに関係する心へのプレッシャーについて取り上げる。現代ならではのネットストレス、ぜひチェックしてみて。



Photo:Getty ImagesText:Manabi Ito

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坂本里江子先生
精神科医・医学博士

青山すみれクリニック院長。精神保健指定医。日本精神神経学会精神科専門医・指導医。日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー、アロマテラピーインストラクター、アロマテラピストなどの資格も持ち、治療にも取り入れている。女性の患者が中心のクリニックで、現代女性が抱える心の悩みを数多くケアしている。http://aoyama-sumire.com/