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トレーニングの後には、少しの痛みもつきもの。その痛みで、思い切り運動したという達成感を覚える人も多いはず。けれど2日後、目を覚ましたときに激痛が走る場合はどう?

トレーニングをしたことのある人なら、ほとんどの人が2日目の筋肉痛を経験しているだろう。筆者も、無理をしたランニングや久しぶりのリフティング種目になると特につらい。実はこれ、かなりよくある現象で、「遅発性筋肉痛」(DOMS)と名前が付いているくらい。

遅発性筋肉痛って何?

筋肉痛を理解するには、まず筋肉がどのように増えるのかを知らなくてはならない。「簡単に言えば、運動中には筋肉の繊維が壊れていって、安静時にそれを再構築する。そして痛みが発生する。筋肉痛は、ダメージを受けた筋肉繊維一つ一つが原因で起こる」と運動生理学者でACE公認トレーナーのピート・マッコールは語る。

また、運動内科医で『The Exercise Cure』著者のジョーダン・メツルは、痛みのそもそもの原因はトレーニングだけれど、自然治癒の過程で「炎症カスケード」と呼ばれる現象が遅れてやってくる痛みを引き起こすと説明している。

つまり遅発性筋肉痛、通称DOMSとは、運動してから2日目に特に強まる筋肉痛のこと。これはトレーニング後4〜5日の間に体に起こる変化の一環。1日目には傷ついた体がサイトカインと呼ばれるタンパク質を分泌する。これは炎症を起こしている筋肉を治すよう、細胞に指示を出す。同時に、プロスタグランジンというホルモンの働きで傷ついた部分へ血を集中させる。

この過程、最初の24時間はゆっくりとしたものだけれど、2日目には患部、すなわち筋肉への血流量がピークに達して回復し続ける。つまり起きるのがつらくなるということ。

遅発性筋肉痛の原因は?

筋肉痛を起こすトレーニングに具体的な種類はなく、影響があるのは運動の激しさや普段の習慣からだそう。マコールは、「筋肉にいつもより激しい運動を強いるとき、DOMSの激しさも増す」と説明している。つまり、いつもよりも重いリフティング種目をしたり、普段よりもペースを上げて短距離走をすると筋肉痛が発生するということ。

一方で、ダンベルを下ろすときなど、筋肉を伸ばして縮める運動である「伸縮性トレーニング」をする方が筋肉痛を経験しやすい、というのが運動内科医グレッグ・ジャスティスの見解。このタイプの運動は、とりわけ筋肉に細かい損傷を与えやすく、傷ついた筋肉を再構築しなくてはならないからだそう。

また、化学的に見ると、筋肉の酸度を上げているので「酸素が減ることでより痛みに敏感になる」とマコールは言う。

しかしメツルいわく、これは乳酸がたまっている状態。

「かつては遅発性筋肉痛の原因も乳酸だと思われていた。しかし、細胞学の進歩で乳酸が運動耐容能、つまり“どれくらい激しいトレーニングができるか”に与える影響は短期的なもので、遅発性筋肉痛とは無関係だと判明した」

遅発性筋肉痛は治療できる?

DOMSは予防できないことが多いけれど、乗り越えやすくすることはできる。そうするためには一に水分、二にも水分。マコールいわく、体内の水が多いほど、水素イオンを流し出しやすくなるから。また、サウナやスチームルームに入るなら、体を温めて血の巡りを良くしよう。そうすることでよって水素イオンが取り除かれ、筋肉に新鮮な酸素を含む血液が届きやすくなる。

また、回復に向けた積極的な行動も実践しよう。

マコールは「汗をかいて心拍数を上げ、血液を循環させればさせるほど、古い血を出して新しいものに変わる」とのこと。

これにはサイクリングやヨガ、フォームローラーを使ったストレッチなどをするのがメツルのお勧め。動くのをやめると、かえって痛みが深まってしまうらしい。

遅発性筋肉痛は、心配した方がいい?

メツルが言うには、動けない! と感じても、「頑張った結果、強い筋肉を作っている」ので悪いことばかりではない。トレーニングの翌日、ある程度に痛みはあるくらいが良い。でも起き上がるのが苦になるレベルならば話は別。

「医師として10段階で痛みを測るのであれば、DOMSは7か8相当の痛み。そこまで行くのは避けた方が良い」とマコールは語る。

また、筋肉痛の種類にも注意しよう。DOMSは筋肉が全体的に痛む感覚だけれど、鋭い痛みが一箇所に集中しているのなら、筋肉や結合組織のけがの可能性があるという。その場合は至急病院へ向かおう。

最後にメツルからもう一つ、注意が。2、3日経っても痛みが引かず、尿の色が変わってきたら、横紋筋融解症かもしれない。これはDOMSが暴走したような状態で、とても深刻な病気。必ず医師に相談するようにしよう。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text:Ashley Oerman and Ashley Mateo Translation:Emi Ito Photo:Getty Images