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栄養価を重視したあなたの普段の食事には、ベージュ色の炭水化物の姿がない。主要栄養素である炭水化物が体の活力に不可欠なのは分かってる。でも、健康的な身体組成づくりの要になるのも炭水化物だと指摘する、新たな研究結果が発表されたそう。

近年、炭水化物にはダイエットを促進する力があることを示す文献の数が増加している。

“パンとパスタを食べると体重が増える” という認識があまりに根深いので、実際は逆なんだと言われても冗談にしか思えない? もちろん、徐々にではあるものの、ここ最近は形勢が変わりつつあるそう。

イギリス版ウィメンズヘルスはこれまでも、炭水化物を極端に制限しないでと言ってきたつもり。栄養のスペシャリストなら必ず、すべての食品群をバランスよく食べるよう促すはずだそう。でも、ハードなワークアウトを乗り切るためには炭水化物が極めて重要であると人々が受け入れたのは、HIITが流行り出してから (ナッツバターはトーストに塗って食べるのが一番美味しいという事実も、炭水化物の普及を後押しした)。

ダイエットには炭水化物を避けるよりむしろ食べるべき、なんてピンとこない? 科学的な証拠を見てみよう。

ダイエットに最も適した炭水化物とは?

今年2月、カリフォルニア州スタンフォード大学肥満予防研究センターの研究チームは、低炭水化物ダイエットと低脂肪ダイエットの有効性を比較する大規模な実験の結果を発表したそう。

1年間にわたり600人の肥満成人をモニタリングした無作為の臨床試験では、2つのダイエットグループの間に大きな違いは出なかったものの、興味深い発見があった。減らした体重を維持するカギは、食べる量でも食品群の数でもなく、食べ物の質にあることが分かったのだとか。

添加糖分、精製穀物、重度の加工食品を減らす一方で、炭水化物を含む野菜と自然食品の摂取量を増やした人々には、1年の間に著しい体重の減少が見られた。これを受けて、ダイエットを促進する複合炭水化物の力を称賛した書籍も出版された。

アメリカのテレビでも活躍するパーソナルトレーナーのボブ・ハーパーが、ベン・スティラーやグウィネス・パルトロウのような健康マニアに向けて書き下ろした『The Super Carb Diet』は、90日間1日3度の食事に必ず炭水化物を取り入れるという考えに基づいた食事プラン。

避けるべき 、食べるべき炭水化物

炭水化物の中でも特に栄養価の高いスーパーヒーローは、玄米、そばの実、ブルグル、そして全粒粉のパンやパスタ。ハーパーは、この食事プランに従っている間は、ベーグルやシリアル (オートミールは除く)、ドライフルーツを避けるよう勧めている。

「炭水化物および炭水化物が体に与える影響に関する栄養科学は複雑。炭水化物は多種多様で、植物性タンパク質は特に種類が豊富」 と説明するのは、イギリスのコヴェントリー大学人間栄養学上級講師で、英国栄養協会のスポークスパーソンを務めるデュエイン・メラー博士。「炭水化物は、1つの分子で作られていることもあれば何千もの分子で構成されていることもあるので、考えられる組み合わせが大量」 だという。

“ホリデー前に炭水化物を完全にカットする” という非常に向こう見ずな信念の根底にあるのは、炭水化物を排除すれば脂肪が早く落ちるという考え方。

炭水化物を完全にやめると体に何が起きるか復習が必要? 数日のうちに体は、生体プロセスに必要な燃料を確保するべく、糖質の代わりに脂質を燃やすというケトーシス状態に入る。

単炭水化物と複合糖質の違いの重要性を力説する研究論文が近年ますます増えているわけだけれど、そもそも複合炭水化物には、そう呼ばれる訳がある。

ケトン体ダイエットやアトキンスダイエットといった低炭水化物ダイエットを調査した複数の研究によって、ケトーシス状態に入ると実際に体重が減ることが分かっているみたい。

では、炭水化物を食べても同様に体重が減るというのは一体どういうことなんだろう?

単炭水化物 vs 複合糖質: どちらがダイエットに適している?

単炭水化物と複合糖質の違いの重要性を力説する研究論文が近年ますます増えているわけだけれど、そもそも複合炭水化物には、そう呼ばれるワケがある。

「その名前からも分かるように、単炭水化物はワンステップで分解される。チョコレートバーを食べると、単炭水化物のスクロース (蔗糖) 分子が小腸に直行し、素早くグルコースに変換されて血中に吸収されるため、インスリン値が急上昇する」 と語るのは、公認管理栄養士で英国栄養協会スポークスパーソンのケイトリン・コルッチ (@themissiondietitian)。「一方の複合糖質分子は、そう簡単にグルコースに変換されない」。

全粒の炭水化物

一切れの全粒パンやフォーク一杯のパスタを食べると、唾液が複合糖質を取り囲み、マルトース (麦芽糖) に分解し始める。次に、アミラーゼと呼ばれる腸に生息する酵素が、マルトースをさらに小さなグルコース分子に分解しなければならない。複合糖質は、この段階で初めて血中に入ることができる。このように、複合糖質は処理に時間がかかるので、インスリン値がゆっくり上昇し、突然ピークを迎えることがなくなるそう。

単炭水化物を複合糖質で置き替えれば満腹感が長持ちするので、午後3時に甘い物が食べたくなることもないわけだとか。

複合糖質への切り替えが大切なのは、体重を長期的に維持する秘訣は、体に喪失感ではなく満足感を与えることにあると指摘する研究結果が増えているから。つまり、炭水化物を完全にカットすれば、(食事が制限されて惨めな気持ちになる一方で) 短期的には体重が減るかもしれない。でも、長期的に体重を抑えるには、複合糖質を食べるのが鍵だということ。

「低炭水化物と低脂肪ダイエットを12ヵ月間比較した結果を見ると、6ヵ月経つと人々の摂食行動はまとまる傾向にあるようだ。要は、どちらのダイエットをしていても、似たような量の炭水化物を食べるようになるということ」 とメラー博士。

「低炭水化物のダイエットを何とか続けられる人もいれば、続けられない人もいる。複合糖質を含む幅広い食材を賢く取り入れることが、喪失感の防止と食後の満足感の維持につながる」。

体重を減らし、それを維持するのが目標なら、複合糖質が役立つことを科学が証明しているそう。

さあ、次の休日が来る前に複合糖質を食べ始めよう。

※この記事は、ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Kate Wills Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。