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今、ロンドンでは「ブレスワーク」と呼ばれるホリスティック医学が注目されているみたい。今回は、実際にUK版ウィメンズヘルスのエディターが「ブレスワーク」をトライ! 

ブレスワークとは?

みんな呼吸の仕方は知っているけれど、古代の東洋医学に端を発するブレスワークは、呼吸の仕方に意識を集中させる練習のこと。精神状態を変えてトラウマ(心的外傷)的な経験を乗り越えるため、神経系を落ち着かせて心身の健康を実感するためなど、その目的はセッションによってさまざま。

西洋でも70年代からブレスワークが使われているけれど、ロサンゼルスで本格的にはやり始めたのは、6年ほど前の話。イギリスでも人気に火が付き、専門サイト「Transformational Breath」には、国内のファシリテーターが何十人もリストアップされている。国際的なウェルネスサミット「Global Wellness Summit」は、2017年の時点でブレスワークが大ヒットすることを予測していたそう。

通常、ブレスワークはグループレッスンの形で行われ、専門知識を持ったファシリテーターが付く。あえて過呼吸みたいなことをするセッションもあれば、深呼吸に焦点を当てた瞑想のようなセッションもある。

2019年のロンドンでブレスワークを先導するのは、オーストラリア出身のリッチー・ボストック(通称@thebreathguy)。ブリスベンで経営コンサルタントとして働いていた彼は、2015年、武術を教えるために脱サラし、ポーランドへ向かう。そこで出会ったのが、ブレスワークの大いなる提唱者でエクストリーム・アスリートのヴィム・ホフだった。その後ボストックは、さまざまなブレスワークのプロについて修業し、自分のビジネス「Xhale Breathwork」を立ち上げた。

彼によると、「ブレスワークは、呼吸を意識的に使って、自分自身の在り方、身体・精神・感情の状態を変えるもの」。あまりに人気が出たので、クラスルーム型レッスンの他にも、“自分ひとりで自宅でできる” バージョンのアプリ配信まで始めたという。

精神科医のリチャード・P・ブラウンとパトリシア・L・ゲルバーグは、2012年に発表した著書『The Healing Power of the Breath』の中で、ブレスワークが「ストレス反応システムのバランスを取り戻し、興奮した神経を落ち着かせ、不安神経症と心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を和らげ、体の健康と持久力を向上させ、パフォーマンスを高め、人間関係を強化する」と述べている。

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ブレスワークって、どんな感じ?

冷たい床に横たわり、レッスンの開始を待っていると、少し不安に。その理由はインターネットには、体外離脱をした人もいれば、ただひたすらけいれんしながら20分泣き続けたという声もあったから。

でも、ボストックの甘美な声で私の呼吸は深くなり、5秒かけて息を吸い、息を止め、5秒かけて息を吐くという狙い通りのモーションに入り込んでいった。

呼吸に集中していると、「ガスメーターの点検を予約しないと」なんていう雑念は消え、幻覚を見ているような変な気分になってきた。現実と夢のはざまで、底知れぬ灰色の穴に落ちるような感覚。体は宙に浮かび、思考は泳ぎ、私は意識を失いかける。この世界では、締め切りや買い物リストが全て過去のものとなる。

私自身、泣いたり震えたりはしなかったけれど、勝手に腕が上がったり、四肢がけいれんしたりしている人も。私の左足も自発的にタップを踏んでいる。

ブレスワークの効果とは?

ボストックによると、ブレスワークは体の機能のひとつひとつにつながっている。そのため、ブレスワークをツールとして使えば、ストレスと不安が減るだけでなく、瞑想状態にも入りやすくなる。

要するに、呼吸法をマスターすれば、精神的に参りそうな状況で役に立つ、ちょっとした防御システムが手に入るということ。満員電車の中でも、上司から注意を受けようと、呼吸の仕方さえ知っていれば大丈夫。

私は、頭がフラフラの状態でレッスンを後にした。その夜ほどぐっすり8時間寝たことはない。

翌朝の私は希望に満ち満ちていた。これほど楽観的になれるのは、いつも熟睡できる人だけ。すぐにでも、またロンドン中心部の冷たい床で呼吸に集中したい。

自宅でできる基本的な「ブレスワーク」

ボストックが言うように、大事なのは自分の呼吸を日頃からツールとして使うこと。自宅でも、バスの中でも、会社まで歩くときでも、この呼吸エクササイズを実践してみて。

● 肺を空っぽにしたら、鼻から5秒かけて息を吸い、おなかへ空気を送り込む。
● 5秒間息を止める。
● 5秒かけて息を吐く。
● 5秒間息を止める。
● これを少なくとも3分間、または気持ちが完全に落ち着くまで繰り返す。

 
※この記事は、UK版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Alice Head Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。