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24時間、365時間絶え間なく続けている「呼吸」。呼吸を深くするべきという思い込みにとらわれて、深い呼吸を心掛けている人もいるだろう。けれど息の吸い過ぎや、二酸化炭素にも目を向けるべきという新たなスタンダードを前回、呼吸に詳しい近藤拓人さんに伺った。今回はそれを踏まえ、正しい呼吸のやり方ついて教えてもらう。意外にも、正しい呼吸の目的の一つは「呼吸量を減らすこと」。なぜ、呼吸量を減らすべきなのか、現代人の呼吸の状態に迫る!

「呼吸エクササイズの目的は増えすぎてしまった呼吸量を減らすことであり、運動や体の動きにかかわらず、無意識に正しい呼吸を選択できる能力を身に着けることです」と言うのは『新しい呼吸の教科書』の著者の一人であり、アスレチックトレーナーの近藤拓人さん。

「一見、呼吸エクササイズは筋トレのように見えますが、異なります。ですから、回数を重ねて追い込む、負荷を大きくする、ということではありません」

最初に覚えるべき、仰向けの呼吸エクササイズ

体が安定しやすい仰向けで呼吸エクササイズを行う。この時、最も大事なのはリラックスすること。緊張すると呼吸が詰まったり、浅い呼吸になってしまいがち。腰が床から浮かないようにしながら、頭からお尻にある仙骨までぴったりと床につけて行うのがポイントだと近藤さんは言う。

「腰が反ると体が緊張し、過度な呼吸になります。このエクササイズの目的は多すぎる呼吸をリセットすることなので、ここは重要なところです。腰が反ってしまう人は、手のひらを下にして腰の位置に差し込んで、体で手を押し潰すように重心を置くと反り腰がケアできます」

足は膝を曲げて、足裏は床に。両腕は、リラックスして体側に。

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【Aの呼吸】
鼻から5秒で息を吸う→鼻から5秒で息を吐く→5秒静止する(呼吸を止める)×3セット

【Bの呼吸】
鼻から5秒で息を吸う→「ハーーーッ」と言いながら口から5秒で息を吐く→5秒静止する(呼吸を止める)×3セット

「呼吸はAが基本です。でも、鼻からしっかり息が吐けない、吐いている時に腹筋の動きが感じられない、肋骨が自分の足の方向に降りてくる感覚がないという場合は、Bの呼吸を行いましょう。秒数は厳密ではなく、あくまでも目安です。7~10秒で出来れば問題ありません」

焦らずにゆっくりと時間をかけてマスターする

上のエクササイズを「なんだ、簡単!」と思った人は、要注意。動作は一見簡単ですが、これが正しい呼吸の基本の中の基本。1回目で出来たと思っても、ゆっくりと時間をかけて繰り返すことが大事だと近藤さんは言う。

「焦って行わないように注意しましょう。慣れないと呼吸のリズムがつかめず、呼吸が乱れることもあると思いますが、乱れたまま繰り返しても意味がありません。一度リセットして、落ち着いてから再開することをおすすめしています」

呼吸の基本中の基本。まずはじっくりと自分の呼吸を観察して、正しい呼吸をマスターしてみて。



Photo:Getty ImagesIllustration:Kanao Enami(asterisk-agency) Text:Manabi Ito

Headshot of 近藤拓人さん
近藤拓人さん
アスレチックトレーナー

1986年宮崎県生まれ。ミネソタ州立大学アスレティックトレーニング学科でアスレチックトレーナー資格を取得。AZCAR株式会社代表。プロアスリートのトレーニング、痛みを抱える患者のリハビリにあたり、運動療法に関するセミナーを全国各地で開催。NATA認定アスレティッ クトレーナー(ATC)、NSCA認定CSCS、 PRI認定PRT、DNS認定エクササイズトレーナーなどの資格も所有。著書に『新しい呼吸の教科書』(ワニ・プラス、共著)などがある。