乳がんは、早期発見できれば「怖いがん」ではない時代に!

05 August 2018

乳がんは、早期発見できれば「怖いがん」ではない時代に!

著名人が若くして亡くなるなどで、近年、一気に注目を集めた乳がん。実は女性のがん死亡原因のうちの上位にあることを知っている人は多くないのでは。しかし早期に発見できれば、むやみに怖がることはない時代になったと専門家は言う。その一方で、検診の受け方や受けるタイミングなども、まだまだ知られていないこともたくさん。まずはその第一歩である乳がんの検診について、品川ブレストクリニックの嶋本 裕院長にインタビュー。

嶋本 裕先生

医学博士 嶋本 裕先生

品川ブレストクリニック院長。日本医学放射線学会放射線診断専門医、検診マンモグラフィ読影認定医、日本インターベンショナルラジオロジー学会IVR専門医。愛知県がんセンター中央病院、聖マリアンナ医科大学病院などを経て、品川ブレストクリニックを開院。

小林麻央さんが罹患されたことで、「若い女性でもかかる可能性があるんだ」という認識を持った人が多くなった乳がん。2016年の調査では、女性のがんによる死亡原因の5位。
2013年のがん罹患数を見ると、1位を占める(*)。

「データだけ見ると、女性のがんの中でも上位ということが分かります。でも、罹患率は1位なのに死亡者数は5位です。この差は、早期に発見できれば乳がんにかかったとしても亡くならないということを意味しています」と言うのは、乳がん検診に定評がある品川ブレストクリニック院長の嶋本 裕先生。

*……国立がん研究センター「日本の最新がん統計まとめ」(元データ、人口動態統計によるがん死亡データ 1958年~2016年)より

乳がんにかかった人の割合を世代別で見ると、30代から徐々に増え始め、40代後半から50代前半でピークとなり、60代前半で再びピークを迎えると嶋本先生。


「心配し過ぎ」もデメリットに? 適正な検診とは

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ここ最近、有名人が20代や30代前半で乳がんにかかったというニュースも目にすることが増えてきた。国が定めている乳がんの対策型検診は、40歳以上の女性に対して2年に1度のマンモグラフィによる検診が推奨されている。20代や30代は乳がんの検診について、どう考えたらいい?

「私のクリニックでも有名人のニュースが報道された後などは、若い方からの検査のお問い合わせも増えます。実際に20代や30代前半で乳がんにかかる方もいます。ですが、国が20~30代を対策型検診の対象にしないのは、この年代におけるマンモグラフィ検診の死亡率低減効果が不明であることと、罹患率が最も高い40代後半と比べて半数以下であることから、対象とすべき根拠が見出せないからです。

検診はがんを早期発見できるというとても大きなメリットがありますが、その反面デメリットも指摘されています。検診を受ければ、『検査結果は大丈夫かな』と精神的には大きなストレスを生みます。また、マンモグラフィ検診の場合は被曝というデメリットを常に考えないといけません。

マンモグラフィ検診による発がんリスクは極めて低いと考えられていますが、若いうちから定期的に被曝することは決して勧められることではありません。しかし40歳以上であれば、マンモグラフィ検診によるメリットの方が被曝のデメリットよりも大きいであろうと判断されています。

その一方でここ数年、20代や30代でも乳がんを心配し、検診を希望する方も増えてきました。そういう方にはデメリットもお話し、検査を受けていただきます。例えば母親や姉妹などの近親者に乳がんが多くて遺伝的に乳がんが心配だという方や、乳がんそのものが心配という方はそれぞれに合った方法で一度検査して、自分の乳房がどんな状態にあるかを診てもらうのもいいと私は思っています。

ただ、ニュース報道で心配されて何度も検診される方もいますが、それは“過剰検診”になってしまい、デメリットが大きくなります」


まずは「人生のターニングポイント」に検査を受けよう

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20~30代の女性が絶対に検査を受けなくてはならない訳ではけれど、「人生のターニングポイント」などを目安に検査を受けたりするのもいいのでは、と嶋本先生。

「例えば、結婚前や妊娠したいと思ったときに確認しておくのもいいかもしれません。今の女性は結婚後には仕事や家事や育児と、さらに忙しくなる人もいて、自分の体になかなか向き合えないこともあります。また妊娠・出産・授乳の最中は乳房の詳しい検査を行うことが難しくなります。こうした人生のターニングポイントの前にチェックしておく、というのはいいかもしれませんね。

また、最近の女性は自分の乳房をよく見たことがない人も少なくありません。まずは、よく見て、よく触れる。乳房に関心を持つことが、20~30代がすべき第一歩だと思っています」

 

乳がんに関心を持つことは確かに、良いこと。けれどたくさんの情報に振り回される前に正しい知識を得て、適切なタイミングで検診を受けてみて。そのためにも、自分のバストにまずは興味を持とう!

 

品川ブレストクリニック

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乳がんの検診においては即日で確定診断ができる機関が少なく、また検査の結果が出るには時間がかかることも。こうした現状を踏まえ、検査から確定診断までをスピーディーに対応することを目指す、乳腺専門のクリニック。乳腺疾患の正確な確定診断に注力し、マンモグラフィ・超音波・MRIなど、丁寧な画像検査に力を入れている。乳腺外科の他、乳がんドックも併設、豊胸術後の乳がん検診も受診できる。乳がんの画像を基づいた、画像診断医によるセカンドオピニオンなども相談可能。
http://www.shinagawa-breast.com/

Photo:Getty Images

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