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これこそ究極のワークアウト?シェイプアップやスリムダウンのためにプールを探す人は少ないかもしれないけれど、実はプールこそが選ばれるべき場所。水泳ほどカロリーを消費し、代謝を上げ、関節に負荷をかけずに体中の筋肉を鍛えてくれるワークアウトは他にない。その内容をUK版「ウィメンズヘルス」からご紹介。

パーフェクトな体を作るのにオリンピックの金メダリストである必要はない。米国インディアナ大学の研究チームが趣味で水泳を行う人と行わない人を比較したところ、すべての年齢層において水泳を行う人の筋力が高く、ウエストとヒップラインも引き締まっていることが分かった。

靴を履くだけで始められるランニングほどの手軽さはないものの、水泳に必要なのは水着、キャップ、ゴーグルの3つだけ。これは泳ぎに行くしかない。

水泳が体に良い理由

水泳がボディシェイプに良い理由は、そのカロリー消費力と筋肉増強力にある。軽く泳ぐだけでも1時間に約120kcal、そして激しい泳ぎではおよそ165kcalも消費できる。水は空気よりも約800倍高密度なので、水を掻いたり蹴ったりという動きは全身の筋トレのようなもの。特に体幹、腰、腕、肩、お尻に効果がある。泳ぎながらカロリーを消費するついでに、代謝に火を付ける引き締まった筋肉を作ることもできる。だからシャワーを浴びて体が乾いた後もカロリーの消費が続くのだ。

しかも水泳は体に優しい。水は重力を無効にするので、水に浸かっている間はほどんど無重力状態となり、関節をリラックスさせることができる。「ほぼ毎日泳いでも怪我の心配をしなくていい」 と語るのは、長年にわたり水泳の効果を検証している米国インディアナ大学のカンシルマン水泳科学センター長のジョエル・ステイジャー博士。「ランニングや筋力トレーニングではそうもいかない」

これが水泳を生涯楽しめる理由。しかも、水泳には若さを保つ力がある。ステイジャー博士によると、「研究の結果、泳ぐ習慣のある人は生物学的に実年齢よりも最大20歳も若いことが分かっている」 そう。米国スポーツ医療学会で発表されたこのデータは、水泳を行う人の血圧、コレステロール値、心血管系機能、中枢神経系機能、そして認知機能が、実年齢より圧倒的に若い人と同等であることを明らかにした。

水泳の始め方

初心者の多くは大きな期待を抱いてスタート台に立つ。勢いよく飛び込み、30分がっつり泳ごうとする。「4分後、完全な敗北感とともにプールの縁に掴まっている」 と語るのは、米国ヴァージニア州のワシントン・アンド・リー大学水泳部でヘッドコーチを務めるジョエル・シノフィールド。

これは、水泳では心血管系機能と筋肉が地上とは異なる動きをしなければならないから。地上でのワークアウトのように好きな時にいつでも空気が吸えるわけではないので、肺は新たな呼吸法に適応する必要がある。また、他のエクササイズとは異なり、全身の筋肉がチームプレイで動かなければ浮いたまま前進することができないのが水泳。

シノフィールドによれば、「短いセッションに分け、泳ぐ時間と休む時間を様々なパターンで組み合わせ、泳法、練習方法、強度を変えるのが効果的な水泳。楽しさだけでなく、ワークアウトの効果も増す」 そう。休憩時間を取ることで時間を無駄にしていると感じる必要はない。「水泳は、休めば心拍数が素早く落ちるウォーキングとは違う。数往復泳げば30秒経っても心拍数は上がったまま」

まずはこのワークアウトから始めてみよう。楽なペースで2往復泳ぎ (必要に応じて、壁についた時に呼吸を整える)、30秒休む。これを5~10回繰り返す。最初の2週間はこのトレーニングを週2~3回行ってみよう。米国ミネソタ州マカレスター大学水泳部のヘッドコーチであるロバート・ピアソンは、久しぶりに泳ぐ場合は、最初の2往復にはキックボード (ビート版) を使うよう勧めている。腕や脚の動きにとらわれず、泳ぐことに体を慣らすのに役立つ。これをマスターしたら、本格的なプランに沿って泳ぎ始めればいい。

泳法の種類

フリースタイルは、その学びやすさとカロリー消費量で人気。ポイントは泳法を混ぜること。シノフィールドいわく、「様々な泳法を取り入れることで、筋肉のバランスを取り、飽きが来るのを防ぐ」 のがフリースタイル。背中と肩の筋肉を使って姿勢を矯正する背泳ぎと、一般的なワークアウトで見逃しがちなお尻と内ももの筋肉を使う平泳ぎの2つがおすすめ。シノフィールドのアドバイスを参考に、この泳法の効果を最大限に引き出そう。

背泳ぎ: 目は上向き。つま先を見ると腰が沈んでしまうので、頭が背骨の直線状に来るように空や天井を見上げること。アルファベットのYを作るように、腕を体に対して45°の角度に伸ばす。肩への負荷を減らし、力強いストロークになる。

平泳ぎ: 水を掻き切ること。頭上で手のひらを合わせ、手のひらを外に向け、手があごとほぼ平行の位置に来るまで水を掻く。手を胸に持ってきて、再び頭上で手のひらを合わせ、勢いよく水を掻く。ひざを曲げ、かかとをお尻に近づける。つま先を外に向け、腕を伸ばすと同時にカエルのように両脚で水を後方に蹴る。

※この記事は、UK版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text:Selene YeagerTranslation:Ai Igamoto Photo:Getty Images