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就寝前のお茶を欠かさない人は多い。睡眠の質を向上するための特別なお茶を作る企業も数多く存在する。でも、この手の調合に効き目はあるの? それとも、ほとんどプラシーボ効果? 最も一般的な原料が疲労と睡眠に与える影響を2人の栄養士が調べてくれた。

ベッドタイムティーの原料は様々だけど、最もよく使われる種類の中には眠気を誘うものもあるみたい。

カモミール

この花を食べると眠くなることを示す研究結果がある。認定管理栄養士のアビー・ランガーによると、カモミールは 「何年にも渡って消費されてきた弱めの精神安定剤」

●ラベンダー

とある実験では、ラベンダーの香りを嗅いだ女性のレム睡眠時間が増えた。ラベンダーには気分を安定させる鎮静作用があることを指摘する文献も存在する。ランガーいわく 「ドイツでは、ラベンダーティーが不眠症治療に承認されている」 そう。「ラベンダーは、吸い込まれると鎮静作用とリラックス効果を発揮する。紅茶ではなく気体を吸い込む実験がほとんどだけど、液体にも効果があるのでは」

●カイコソウの根

市販の不眠治療薬によく含まれる植物だけど、睡眠の質を向上することを示す決定的な証拠はない。ランガーによれば 「問題なのは、正しい用量が分かっていないこと。副作用として、めまいや胃のもたれを引き起こす可能性があるので注意が必要」

●スペアミント/ペパーミント

ミントの中でも、特にペパーミントは消化や食後のガスの削減に効果的。「お腹の調子が悪い時は、ミントで良く眠れるかもしれない」 と語るのは、認定管理栄養士のジェシカ・レヴィンソン。ランガーによると動物実験の結果、ペパーミントによって睡眠時間が増える可能性が明らかになったそう。「でも、人間はネズミじゃないし、ミントは香りとして使われることがほとんど」

●ウイキョウ

天草のような香りのするこの野菜は腸や子宮の筋肉をほぐし、胸焼け、ガス、筋痙攣を緩和することが証明されている。レヴィンソンとランガーは、これがウイキョウが紅茶に加えられる理由かもしれないと声を揃える。

●トケイソウ

この花が睡眠を改善する可能性はあるけれど、確実性は低い。ランガーは 「不安や不眠を和らげることを示す研究結果は複数あるけれど、組み合わされた他の植物の効能と混同されることも少なくない」 と指摘する。

●レモングラス

1~2件の動物実験によって、この植物のマイルドな香りで睡眠時間が伸びることが判明したものの「説得力に乏しく、証拠とは呼べない」 とランガー。

●オレンジの花

ランガーいわく、不安の緩和に役立つことを示唆する疑わしい研究結果はあるものの、この花は香り付けに使われることがほとんど。

その他の原料 (シナノキの花、ブラックベリーの葉、サンザシ、バラのつぼみなど) に関しては、寝つきを改善することを示す証拠は一切なく、主に香料として使われていることに栄養士たちも同意する。

結局のところ、就寝前のお茶に効果はあるの? 残念ながら、ハッキリした答えはない。「ほとんどのリサーチは説得性に欠けるか動物実験に基づくもの。ハーブ療法に関してはよくあること」 だとランガーは言う。

だからといって、寝る前の一杯にまったく効果がないことにはならない。レヴィンソンも 「紅茶を飲むという習慣が、眠気とリラックスした気分を誘っている」 との見方を示す。米国ベイラー大学の睡眠神経科学・認識研究所の助教授、マイケル・K・シュリン博士も同じ意見。「プラシーボ効果とはすごいもの。あるサプリメントで睡眠の質が向上すると信じれば、実際に改善が見られることもある」。 つまり、ハーブティーで寝つきが良くなると思うなら、迷わずに飲めばいい。

ここで注意して欲しいことがいくつかある。まず、どんなハーブを選ぶにせよ、服薬中なら医師に相談して安全性を確認すること。ランガーも 「植物とはいえ、大量に摂取することが安全とも、薬物に反応しないとも限らない」 と警笛を鳴らす。また、シュリン博士は、睡眠障害を疑うなら睡眠スペシャリストに相談するよう勧めている。「根本的な原因はプラシーボ効果で治せない。そもそもプラシーボは、強さの面でも持続性の面でも、本当に効果的な治療方法とは言い難い」

ハーブティーが苦手な人には、科学的に寝つきを良くする可能性が見つかった別の選択肢がある。

●タルトチェリージュース

脳の下垂体で生成され、睡眠サイクルを調節する化学物質であるメラトニンの優秀な供給源。タルトチェリージュースは、カイコソウの根と同じくらい不眠症に効果があることを示す研究結果もある。「サプリメントも売っているけど、チェリージュースが好きなら睡眠前に少し飲むと眠りやすくなるかも」 とランガー。

●ホットミルク

就寝前のホットミルクはなぜか特別。ランガーによれば、ミルクには (パイナップル、サーモン、ナッツ、シード、ターキー、ひよこ豆と同様に) セロトニンの量を増やすアミノ酸のトリプトファンが含まれているため、リラックス効果が望めるそう。ただ、睡眠を助ける可能性を指摘する研究がある一方で、レヴィンソンいわくその結果にはあまり説得力があるとは言えないそう。紅茶と同様、睡魔をもたらしているのは習慣そのものなのかもしれない。

※この記事は当初、アメリカ版ウィメンズヘルスに掲載されました。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Colleen De Bellefonds Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images