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じっくり風呂に入って、たくさん汗をかくほどキレイになる。それが実は間違っていたとしたら? 私たちが普段、信じているキレイになる入浴法、実は誤りだらけ!? 入浴の正解に迫ります!

キレイになる要素がたくさん詰まっているお風呂。でも実は、キレイになると評判の入り方に根拠がないものが多いってこと、知ってた? 大学で長年、お風呂の健康効果を研究している東京都市大学教授の早坂信哉先生に話を伺ってみた。

半身浴のほうが痩せる、身体の芯まで温まる→×

胸まで湯に浸からずに、ぬるめのお湯に長く入るという入浴法は「身体の芯まで温まり、発汗も促すためダイエットに効果的」「冷え性の人に向いている」と言われて人気の的。

「でも残念ながら、ダイエット効果はありません。半身浴で長くお風呂に入るのと、全身浴で入浴するのを比較すると、消費エネルギーでは全身浴のほうが高い。ですから、半身浴で痩せるというのは誤りですね。もともと入浴では痩せません。エネルギーも消費しますが、痩せるほどの量ではありません。

入る前よりも体重が減っていたとするなら、発汗して水分が一時的に出ただけ。脂肪が燃焼したわけではないのです。さらに、半身浴は本来、心臓や肺に疾患がある人が負荷をかけないための入浴法です。

疾患のない人であれば、あえて半身浴を行う意味はありません。冷え性の解消で行う方もいますが、上半身の胸から上が出ていて、温度も低めな分、身体が徐々に冷える傾向が強いのです。どうしても長く入りたいときや熱いお湯に入りにくい夏場はいいのですが、そうでなければあえての半身浴は、あまり意味がないと言えます」(早坂先生)

長く入って発汗するほどキレイになれる→×

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長風呂=美人の秘訣、と思っている人は多いはず。実際に、1時間以上お風呂に入っているという人も少なくない模様。だけど、この長風呂も実は逆効果。

「肌の角質層は、皮脂で守られています。私たちの肌が潤って艶やかに見えるのは、この皮脂があるからです。ところが、42℃のお風呂に入ると、皮脂や角質層のセラミドなどの保湿成分が溶け出します。

長く入るほどに、この保湿因子がお風呂のお湯に溶け出て、肌を守るバリア機能は低下します。それに伴い、入浴後10分もすると肌から水分も流れ出始めてしまうのです。

簡単にいうと、お風呂は長く入れば入るほど、自分の肌の大事な保湿成分や水分をお風呂のお湯の中に捨てていることになるわけです。また、42℃以上の熱いお湯に入ると、皮膚からヒスタミンという物質が出て、入浴後にかゆくなってしまうことも。熱いお湯と長風呂は美人の天敵なのです。

理想は、42度以下で湯船に浸かるのは10分以内に収めたほうがいいでしょう。保湿因子の流出を抑えたい場合は、保湿成分が入っている入浴剤などを使うのがおすすめです。また、お風呂に入ると一時的に潤っていた肌も、湯船から出て10分を過ぎると入浴前より肌水分量が失われて過乾燥になることが実験でわかっています。できれば、インバスケア(浴室内での保湿ケア)を行うとよいでしょう」(早坂先生)

冷えやすい冬は、眠る直前にお風呂に入ったほうがいい→×

身体が冷えやすい冬。お風呂に入って冷めないうちにベッドに入って、と考えている人も多いはず。でも実はこれ、眠りの妨げになることも……。

「お風呂は熟睡するためや、いい睡眠を誘うためにはとても大事な要素です。でも、お風呂から出てすぐは身体が熱をまだもっていて、寝つきが悪くなってしまうことも。人は眠りに入る前に、手足から身体に溜まった熱を放熱して徐々にクールダウンして眠りにつきます。

お風呂である程度熱を上げたら、それを放熱させる時間が必要です。その時間の目安は、1~2時間だと言われています。また、眠る1~2時間前の入浴は、熱めのお湯だと活動を司る交感神経が優位に働いてしまうので逆効果です。交感神経を優位にさせない、40℃以下の少しぬるめが湯温の目安。お湯の温度にも気をつけてみるといいでしょう」(早坂先生)

キレイのヒントがたくさんある入浴。正しい入浴で、キレイに磨きをかけてみて。

Text:Manabi ItoPhoto:Getty Images