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人気のテレビシリーズを “あと一本” 観たり、真夜中過ぎまでインスタをチェックしたり……いつまで経っても眠い人が多いのも無理はない。夜間の光にさらされると睡眠サイクルに悪影響が出ることを示す研究がある一方で、絶えず携帯端末のスクリーンが発する光を浴びることによる影響については謎のまま。

テレビ番組を一気に観たり、キャンディクラッシュをもう1回やったりしている間、体に寝支度をするよう促すホルモンであるメラトニンのレベルをタブレットやスマホが抑制するため、あなたの目は冴え続ける。そしてこの特別なホルモンの不足が、将棋倒しでより大きな問題を引き起こしていくのだ。

「血中のメラニン濃度が低いと不眠につながる。そしてこれが集中力や免疫力の低下、うつ病、糖尿病、そして心臓疾患さえも引き起こしかねない」 と警告するのは、ニューヨーク大学ランゴン・メディカルセンターの内科医ニコール・ヴァングロニンゲン医学博士。「でも、人工の光に起因するメラトニン値の低下は、体に不眠症以上の悪影響を及ぼすかもしれない」。

メラトニン値が下がると受胎能力が下がることも (人工の光に夜間さらされると体内時計が狂い、妊娠しにくくなるそう)。 さらに、米国ジョージア大学の研究によって、メラトニンは腫瘍形成の防止を助けるため、不足すると乳癌のリスクが高まることが分かっている。ヴァングロニンゲン博士いわく、これはシフト勤務、夜更かしタイプ、都市に住む女性には特に当てはまるそう。

全米科学アカデミー会報誌に掲載された2015年の実験では、人工の光への過度な露出によってネズミの体脂肪率が21%も上昇。ヴァングロニンゲン博士は、人間の体にも同様の結果が出る可能性を指摘する。研究結果によれば、体脂肪の増加が起きたのは、過剰な光がカロリー消費能力を鈍らせたため。

その上、人工の光はあなたの目に様々な悪影響を及ぼす危険性も秘めている。検眼医のシャノン・グリーソンによれば、特にコンピュータ、テレビ、携帯電話が放つ青色光は目を傷つける可能性があるそう。「長時間青色光を浴びすぎると、黄斑変性や白内障の早期発症につながりかねない。程度の差はあれ、どちらも視覚喪失を伴う危険な病気」

ヴァングロニンゲン博士によれば、これらの研究は人工光が体重増加や癌といった健康問題を引き起こすと断言しているのではなく、そこにあるかもしれない関連性を指摘しているだけ。体に気を付けるために日が落ちたからと言って部屋を暗いままにしておく必要はない。でも、体内時計の乱れの原因となっている数々の習慣をなるべく多く改めるに越したことはないのは確か。

eブックの代わりにペーパーバックを読んだり、寝室での電子機器の使用を禁止したり、寝る前にはブラインドを下げたりすることで、人工光を浴びる量は簡単に減らせる。「赤や黄色にオレンジといった、低周波の電球を使ってみるのもいい」 とヴァングロニンゲン博士。

https://www.womenshealth.com.au/artificial-light-health-effects

Text: Krissy Brady Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images