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アルコールの飲み過ぎが体に悪いことは周知の事実。イギリスではここ最近、若い人の間でアルコールを断つ習慣がトレンドになり、昨年のノンアルコール飲料の売上は20.5パーセントも上昇している。禁酒する代わりに低アルコールやノンアルコール飲料を飲むという選択は、健康面で本当に価値があるのか、イギリス版ウィメンズヘルスがヘーゼル・ウォレス医師の見解を聞いてみた。

低アルコールやノンアルコール飲料の正体とは

低アルコール飲料とは、ABV(アルコール度数)が1.2パーセント以下のものを指し、ノンアルコール飲料は、0.05パーセント以下のものを指す。ABVとは、1本あたりの純アルコール量をパーセントで割り出したもの。ABVが12パーセントとラベルに表示されたワインボトルは、全体の12パーセントが純アルコール量ということになる。

ユニットの計算方法は、酒の量(ミリリットル) × ABV(度数またはパーセント)÷1000
ABV12パーセントのワインを標準のラージグラス(250ミリリットル)を飲酒すると、3ユニットとなる。これに比較して同量のノンアルコールワイン(ABV0.05パーセント) は、たったの0.0125 ユニット。
※1ユニット=純アルコール 8グラム

低アルコールやノンアルコール飲料の製法とは

アルコールは、原料に加えられたイースト(酵母)の働きにより糖分が分解され、アルコールと二酸化炭素を発生させて作る。低アルコールやノンアルコールも同じ製法で造られるが、発酵時にアルコール濃度を抑えたり、部分的に発酵させたりしている。ノンアルコールの場合は、ドイツ産(海外産)の製法で、一度アルコールを製造したあとにアルコール成分を除去するという製法をとっている。(※日本国内では法的な理由でこの製法を採用することは難しく、別の製法で製造されている)

ノンアルコールの気になる健康上のメリットとは

1.アルコール摂取量が低くなる

短期的に見ると、1度に摂取するユニット数が低いため、酔いにくい。問題なく良く眠れ、翌朝に二日酔いで苦しむこともない。

要するに、基本的なメリットは、通常の健康状態を維持できるということ。

イギリスの主席医務官のガイドラインによると、男性も女性も同様に、アルコール摂取量を抑えることでガン、肝臓病、心臓病、脳梗塞、脳や神経系の損傷のリスクを減少することができるそう。1週間に14ユニット以上の飲酒を避けることが望ましいけれど、これはグラスワインかビール6杯分に相当するので、意外にもあっという間にオーバーしてしまう。低アルコールもしくはノンアルコール飲料への切り替えは賢明といえるよう。

注意点は、ラベルに低アルコールと記載されているため、飲みすぎてしまう人がいること。低アルコール飲料の市場は消費者に対し、アルコール飲料ではなく炭酸飲料の代用品として購買を促しているので、ランチタイムでも気軽に飲めてしまうので気をつけよう。

2.低カロリー・低糖質

アルコール飲料に比べるとカロリーや糖分が低いため、健康的なライフスタイルを送るためには最適だと言える。だけど、ドリンクの種類やブランド、添加物や消費量によって違いを生むので、この表示は保証されたものではないので注意して。

例えばドイツビール、ノンアルコールのベックスは、普通のベックスに比べてカロリーは半分で糖質は2倍。ノンアルコールのソーヴィニヨン・ブランは、普通の白ワインに比べカロリーは大幅に低いが糖質は多め。

健康にいいアルコールもある?

そんな中、赤ワインは健康にいいことで有名。適切な量(1日グラス1杯まで)を守れば、脳卒中や心臓病などのリスクを減らす効果があるとのこと。一方では、アルコールを断つことが、アルコールから得られるどんなメリットよりも勝り、安全だと言われている。過度な飲酒が体に悪影響を及ぼす事実は疑う余地もないけれど、少量の飲酒はそれほど有害ではない。

低アルコールやノンアルコール飲料について医師の見解とは

ノンアルコールや低アルコール飲料は、イベントやお酒の席でアルコールを飲みたくない時に最適なドリンク。自分だけオレンジジュースで疎外感を感じる必要がなくなる。気をつけてほしいのは、低アルコールだからといって飲みすぎてしまうこと。

禁酒をしている人にとってノンアルコール飲料はベストな選択肢! アルコールの摂取量を抑えたい人には低アルコール飲料がおすすめ。でも、健康上の問題を抱えているのであれば、ノンアルコール飲料すら避けるべき。アルコール摂取について気にかかることがあれば、医師に相談してみて。

※この記事は、UK版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text : Dr Hazel Wallace Translation : Yukie Kawabata  Photo : Getty Images