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糖質オフや脂質カットなど、最近何かと話題の栄養素。減らすことばかりに注目が集まっているけれど、それ以上に気にしたいのが、摂るべき栄養素。実は多くの女性が鉄不足で貧血ぎみ。でも鉄って、どうすれば効率よく摂れるの? 貧血をめぐる特集の第3回は、食を通じたリアリティのある貧血ケアを、ナビスタクリニック新宿・貧血外来の濱木珠恵院先生がアドバイス!

鉄の補給には、「ヘム鉄を含んだ食材」が効率的

「貧血防止のために鉄は必要。それにはレバーを食べるのが一番! というのはよく言われます。でも、それ以外にも効率的な鉄の摂り方があることを知ってほしいですね」と話すのは、貧血外来で多くの女性に食のアドバイスを行っている濱木珠恵先生。

厚生労働省が推奨する成人女性の1日の鉄摂取量は10.5mg。でも実際に摂取している量は7.5mg程度と、ほとんどの人は鉄が不足気味。また、鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があって、どちらの鉄を摂るかで体への影響も違ってくるそう。

「この2つの違いは、含まれる食品と体への吸収率。ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く含まれていて、吸収率は15~20%程度。非ヘム鉄は野菜や穀物、大豆、海藻などに含まれていて、吸収率は2~5%程度とヘム鉄より低め。

そのため、鉄を多く摂るには、非ヘム鉄より5~6倍も吸収率のいいヘム鉄を含む肉や魚を食べるのが効率的。でも実際は多くの女性が、脂が気になるからと肉を遠ざけて、野菜中心の食事になりがち。これでは、鉄不足になるのも当然です」と、濱木先生。

レバーは鉄の王様! 苦手な人は、赤い肉や魚をチョイスして

鉄の含有量ではやはりレバーは優秀で、ヘム鉄がたっぷり。そのうえ、血液をつくるのに必要なビタミンB12や葉酸も含んでいる優秀食材。豚、鶏、牛の順に多くヘム鉄を含んでいるそう。

「鉄補給のためにもレバーは積極的に食べてもらいたい食材の一つです。臭いが苦手という人は、調理法や食べ方を工夫してみてください。とはいえ、食べすぎも禁物。レバーには、摂れば摂るほど蓄積される脂溶性の高いビタミンAも多く含まれています。週に1回か2回くらいにしておきましょう」

レバーはどうしても無理という人は、赤身の肉を選んでみても。魚介類なら、マグロやカツオの赤身。しじみやアサリもヘム鉄を含んでいるのでおすすめ。

「あまり知られてはいませんが、青のりも鉄分を多く含んでいます。このほか、フルーツならラズベリーやアボカド。小腹が空いたら、干しぶどうやドライあんずを。トーストにつけるなら、ぶどうジャムかいちごジャムなど、なるべく鉄を含んだ食材を食べるよう心がけましょう」

胃腸の調子に合わせて、鉄の吸収率を上げよう!

鉄を含んだ食品を食べても、体が吸収できなくては台無し。「胃腸のコンディションを整えておくことは、鉄の吸収を上げるためにも大切」と濱木先生は言う。

「萎縮性胃炎があると十二指腸からの鉄の吸収率が低下します。ピロリ菌が原因の胃炎でも吸収障害による鉄欠乏性貧血が起こります。

非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がります。ビタミンCの他、血液をつくるのに使われるビタミンB12や葉酸など、それぞれを多く含む食材を組み合わせて食べるのも、鉄を多く摂るコツです」

サプリメントは効果的。でも補助ということを忘れないで

食事だけで十分に鉄を摂れないという人には、鉄入りのサプリメントで補充するという手も。生理が重めという人は、継続して摂取するのもおすすめだと濱木先生。

「医師が処方する経口の鉄剤は、1日あたり50~200mgが一般的。市販されているサプリメントの場合、1日の摂取量の目安が5~10mgと少なめですが、重度の鉄不足でなければ継続して飲むことで、鉄不足を十分補えるはずです。でも、サプリメントはあくまでも補助的なもの。食事で摂る、が基本になります」

鉄は体に酸素を届けるために欠かせない栄養素。食事で摂るのはもちろんだけど、ヨーグルトやグミなど鉄入り食品も増えているので、賢く食べて鉄不足を解消して。

■お話を伺ったのは……
濱木珠恵(はまき・たまえ)先生
医療法人社団鉄医会ナビスタクリニック新宿院長。虎ノ門病院、国立がんセンター中央病院で造血幹細胞移植の臨床研究に従事。都立府中病院、都立墨東病院で血液疾患の治療に従事したのち、2012年9月より東中野院長。2016年4月より現職。貧血外来などで女性の健康をサポートする治療を行う。専門は内科、血液内科。著書に『ドラキュラ女子のための貧血ケア手帳』(主婦の友インフォス)など。ナビスタクリニック新宿 https://navitasclinic.jp/shinjuku



Photo: Gettty ImagesText: Yuko Tanaka