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自分は“ハマり”にくい性格だから関係ない。そう思うのは間違いで、実は誰にでも依存症になる可能性が潜んでいるそう。依存症を掘り下げる第2回は、そのタイプと傾向を、たくさんの人々の心や関係性を見つめてきた臨床心理士の信田さよ子さんに聞いた。

依存症には3つのタイプがある

依存症は3つのタイプがあって、それぞれに特徴や傾向があるという。まずはどんな依存症があるのか、信田さんの解説と共に詳しく見ていこう。

1 物質依存
依存の対象はアルコールや薬、タバコなどの“モノ”。嗜好品と呼ばれるものは、依存するほど量が増えやすいのが特徴で、身体を病んで依存症が発覚するケースも。最近では、コーヒーを飲みすぎるカフェイン依存なども話題になっている。

2 行為依存
買い物やギャンブルなど、対象は“モノ”ではなく“コト”。SNS依存症、セックス依存症なども行為依存に属する。ダイエットも依存しやすいコトの一つで、その結果生じるリスクとして摂食障害がある。挫折と失敗を繰り返し、ダイエットがライフワークのようになっている人は気をつけたほうがいいのかもしれない。

最近、問題視されているゲーム依存症も行為依存の一つ。スマートフォンがあれば24時間どこでもできる制限のなさも、依存を加速する要因に。バーチャルな恋愛を楽しむものや人気のキャラクターが登場するゲームもあり、ついのめり込んでしまう女性が増えているとか。

また、依存症とは言えないまでも運動にハマりすぎて、体を壊している女子が増えているという。このほか意外なことに、痴漢や万引きといった犯罪行為もこの行為依存の一つで、常習化してしまうこともあるそう。

3 関係依存
共依存などがこれにあたり、人や関係性が対象。

今、よく耳にする彼氏依存は“好きすぎて彼から離れられない”という状態。“重い彼女”になるかは彼氏次第で、彼氏が“彼女は自分なしでは生きていけない”と応えようとすると共依存になる可能性も。ただし、この状態は自覚がないだけで恋愛初期によく見られることなので、依存症とみなされるのは微妙と言えるのだとか。

機会があれば、依存症になる可能性は誰にでもある

傾向はあるものの、そもそも依存症になるきっかけは、「そのモノやコトに触れる機会があるかどうかです」と信田さん。

機会の有無や頻度は性別や年代、環境によって違うので、陥りやすい依存症も違ってくると指摘する。

「物質依存やギャンブル依存は、男性に多いとされる依存症です。これはお酒やタバコ、ギャンブルに触れる機会が男性に比べて女性は少なかったためと考えられます。今はお酒やタバコ、パチンコや競馬をする女性も増えていて、その分、女性の依存症も増える傾向にあります」

つまり、機会があれば誰でも依存症になる可能性があるということ。でも実際に機会があり、依存する“モノ”や”“コト”の摂取や行為があっても、依存症になる割合は低めだと信田さん。

「依存症になる割合は、お酒の場合でも3%ほど。また、一度覚せい剤をやるとすべての人が依存症にあるというのは偏見で、実際に依存症になるのは1割程度です」

機会があったからといって、誰もが依存症になるわけではない。でも、依存症になってしまったら回復はできるもの? 次回は依存症の治療へのアプローチを、実際に行われている方法を交えて教えてもらう。次回もお見逃しなく!



Photo : Getty ImagesText : Yuko Tanaka

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信田さよ子さん
臨床心理士

お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、CIAP原宿相談室勤務を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを設立、同所長を務める。依存症本人やその家族、DVや虐待問題などのカウンセリングに従事。著書に『依存症』(文春新書)『母が重くてたまらない』(春秋社)『共依存 苦しいけれど、離れられない』(朝日文庫)など多数。http://www.hcc-web.co.jp/ Twitter @sayokonobuta