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ナッツの最新のトレンドはアクティベーション?

なんの変哲もないけれど、普通の2、3倍の値段のナッツが海外では売れているという。みんなが飛びつくこのナッツとはどんなものなのか調べてみた。

「アクティベーティッドナッツ」と大きく書かれたポップの下にぶら下がるのは、クルミやアーモンド。プレーンなものもあれば、塩味、メープルがけのものや、中には「わさび味噌」とちょっと不思議な味のものも。ただのナッツかと思いきや、「アクティベーティッド」されたものだという。

ナッツは小さいながら栄養価がたっぷり。特に食物繊維やタンパク質が多く含まれ、多くのナッツは良質な脂質を含んでいて、脂質の多くは不飽和脂肪酸。マグネシウムや亜鉛、ビタミンEやビタミンB6なども多い。

小腹が減ったときに食べれば、満足感もある上に(食べ過ぎなければ)カロリーも摂り過ぎなくてすむ。デスクに常備するおやつとしてナッツを置いている人も多いのでは。」

そんなナッツの栄養価をさらに高めて、さらに吸収もしやすくしてくれるのが、このアクティベーティング、つまり活性化だそう。

アクティベーディッドナッツとは

アクティベーティッドナッツとは、水に一度浸してからまた乾燥させるという工程を経たもの。これを行うことによって、味を変えることなく栄養価を高めてくれるという。実際にプレーンなものを食べ比べてみても、味の違いは全く感じられなかった。

実はこのナッツや種子類を水に浸すというやり方はアボリジニーが千年以上も前からやってきたことだそう。そして、近年のアクティベーティッドナッツのブームもオーストラリアが発祥だとか。

アーモンドなどの生のナッツを24時間以上、室温で塩水に浸してから低温のオーブンで乾燥させるかローストするのがアクティベーション。アクティベーティッドナッツを販売するローエクスタシーでは、ナッツを生理食塩水に浸してその後55度という低温でゆっくりと時間をかけて乾燥させるそう。

この過程で、ナッツは木の実なので、水に浸しておくと出芽が始まり、フィチン酸が分解されていく。フィチン酸は鉄、亜鉛などの吸収を妨げてしまうが、アクティベーションによって分解されることにより、ミネラルの吸収がしやすくなるとか。

そのため、アクティベーティッドナッツは吸収がしやすいのでお腹にもたれにくく、消化系の問題がある人でも食べやすいと話す人も。

さらに出芽することでデンプン質や食物繊維が減りタンパク質とビタミンの量が増える。これが栄養価が高いといわれるゆえん。

自分でアクティベーティッドナッツを作るのは難しい

では水に漬けて置いておけばいいなら家でもできる、と思ったかもしれないが注意して。

出芽するのはあくまでも「生」のナッツでローストされているものではだめ。市販のナッツのほとんどは茹でたものをさらに高温で調理してるため、出芽する力は失われており、いくら水に浸してもなにも変わらない。

また、アーモンドやカシューナッツは本当に生の状態では毒性があるため、一般に出回ることはまずない。たとえば、生のカシューナッツはアメリカで一般の店で販売することすら法律で禁じられているくらい。

売られているもので「生」と書かれたものは、あまりないが、厳密には生ではなく販売前に加工されて毒性が取り除かれているもの。ただし、ローストや高温で加熱されてはいないため出芽する力が残っているそう。

ナッツの栄養をもっとしっかり摂りたいと思うなら、自分で活性化させるのはめんどうでも、アクティベーティッドと書かれたものを買ってみるのもいいかもしれない。

Text : Noriko YanagisawaPhoto : Gettyimages

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Kiriko Kageyama
エル・グルメ編集長/ウイメンズヘルス編集長

『エル・オンライン(現エル・デジタル)』のファッションエディターを経て、フリーランスに。女性ランナーによる企画集団「ランガール」を設立。その後女性誌立ち上げやWebメディアの立ち上げを経て2017年にウィメンズヘルス』日本版ローンチ時から編集長に。2023年夏よりエル・グルメ編集長も兼務。趣味は料理を作って友人たちに振る舞うこと。