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パンプスなど、先が尖った靴を履いている女性に多く見られるのが外反母趾。足の親指が人さし指側に曲がって、さらに曲がった付け根部分が内側につき出した状態に。曲がっているだけでも痛いのに、その部分が靴にあたり炎症などを起こし、常に足が痛い状態を引き起こすことも……。外反母趾になっている人はもちろん、予防対策も含めて、整形外科医で「お茶の水整形外科」院長の銅冶英雄先生にお話を伺った。


実は裸足の民族でもいる! 外反母趾の原因とは?

「 も少しお話しましたが、先の尖った靴を履く頻度が多いことが、外反母趾の要因の一つだと言われています。特にパンプスはかかとがあがるので、足が前滑りして重心がつま先にかかります。つま先に向かって重心がかかるため、足がその形に変形しやすくなってしまうのです。でも、外反母趾の原因はそればかりではありません。靴を履かない生活習慣の地域からも外反母趾は見つかったことがあり、足の靭帯や筋肉の形状による遺伝的な原因、加齢、立ち仕事が中心などの生活環境なども影響すると言われています。男性でも外反母趾になる人はいますが、パンプスを履くという理由を除いても女性のほうが罹患率は高いのが特徴です。また、足のアーチが低く、親指が人さし指よりも短い人がなりやすいという傾向があるようですね」


治療することはもちろん、生活習慣を変えていかないと改善は難しい

一度変形してしまうと、自然に治ることはない外反母趾。そのため、痛みも長期間付きまとうこともある……。

「“外反母趾で足が痛いので治療してください”“足の変形を治してください”と言われても、変形してしまった骨は簡単に治すことができません。基本はサポーターや運動療法、テーピングや薬などを使って治す保存治療と、変形した親指の中足骨を骨切りして、突き出た部分を修正する手術があります。手術は1~2時間ですが、術後、一般的な靴を履くまでには2カ月以上かかるケースもあります。さらに、手術前と同じような靴を履いて、同じような生活習慣を続けると、また骨が変形してしまう可能性があります。外反母趾の手術をしても生活習慣を改善しないと結局は手術が無駄になってしまうこともあるのです」

そういったリスクを考えると、手術は生活に支障が出るほどの痛みやどうしてもという最終手段と考えたほうがよさそう。


まずはセルフケアで改善する。4つのステップでケアして!

「もしかして外反母趾かも?」という人は、次の4つのステップでケアしてみるといいと銅冶先生。


Step1. 足の指と指の間をマッサージする

長時間靴を履いていると、足の指は固まって、血行も悪化する。そういった状態を続けていると歪みが起こりやすくなることも。まずは、入浴中や入浴後にマッサージを。

「足の指の間に手の指を差し込んで、ゆっくりつま先を反らしてキープ。2秒ぐらいキープしたら、今度は逆側に指を曲げるように2秒ぐらい圧をかけます。気持ちいいぐらいの強さでゆっくりと行うのが効果的です」

Step2. “パンプス休息デー”をつくる

普段パンプスを履いていて、外反母趾の疑いがある人は、足先が尖っていない、ヒールが低めの靴に切り替えることが大切。

「先が丸い靴はかわいくない、おしゃれじゃないという方が本当に多いですね。ほとんどの女性は嫌がります(笑)。そんな人は足先が窮屈でなく、前滑りしない程度の高さのヒールの靴を購入して、パンプスをお休みする日をつくりましょう。毎日パンプスを履かないようにするだけでも足への負担は軽減できます。また、ヒールは細めより太めで、ストラップで足の甲を固定できるタイプのほうが安定します。前滑りしにくいという点では高低差が少ない厚底のプラットホーム型もパンプスよりは足に負担がかかりません」

Step3. 市販のソールを使ってみる

外反母趾の人の多くは足の横アーチが崩れている“開帳足”になっている。開帳足になると足幅が広くなるため、靴に当たる部分が多く、足の変形が発生しやすくなるという。

「靴の形を変えても痛みが出てしまうという人は、まずは市販のパッドを利用するのもいいでしょう。ポイントは下がっている横アーチを上げられるもの。中指の付け根から2センチぐらい下部分を盛り上げるようなパッドを選んで靴に入れてみましょう」

「セルフケアでは改善が見られない、症状がよくならないという人は、専門家の診察が必要なレベルかもしれません。整形外科で診察を受けましょう。痛みのケアだけでなく、足のトラブルに合わせたオーダーインソールなどを使ってケアしていきます。それでもよくならない場合、手術などが選択肢に入ってきます」

Step3までを試してみて、それでも改善されなかったという人は整形外科の受診を!


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Photo: Getty Images Text: Manabi Ito

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銅冶英雄先生
整形外科医

お茶の水整形外科機能 リハビリテーションクリニック院長。1994年日本医科大学卒業後、千葉大学附属病院、成田赤十字病院、国立がんセンター中央病院などに勤務。海外留学などを経て、2010年、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニックを開院。長年腰痛に悩まされた経験を生かし、独自のメソッドを開発。『4万人の腰部脊柱管狭窄症を治した! 腰の痛みナビ体操』(アチーブメント出版)、『腰痛治療「0分」革命!』(主婦と生活社)など著書多数。