怪我なしで準備万端! 爽やかにスタートラインに立つための専門家のアドバイス。
何ヵ月もレースに向けて本気でトレーニングしてきたあなたが絶対に避けたいのは、本番前の数週間で間違いを犯すこと。
テーパリング(※大会前に練習を減らすこと。最大限のパフォーマンスを発揮するために必要と言われている)中にありがちな失敗を防いで、休息と体力維持との間の微妙なバランスをうまく両立しよう。
タグホイヤーのランニングコーチでロンドンマラソンの正式計時員、シモーン・デイリーにテーパリングの実情を聞いた。
1.シューズを変える
トレーニングで履いていたシューズで本番を走るのは、マラソンの基本ルール。大会2週間前は、新しいシューズを“履き慣らす”時ではないそう。
最高の長距離訓練用シューズ、なんて言われているものでも、週末の特訓を共に乗り越えてこなかったのなら、今から別のシューズを履き始めるのはやめよう。
2.トレーニングのしすぎ
日曜となれば毎週あんなに走りこんでいたものを、せいぜい1時間ちょっとのランニングに切り替えるのには不安感が付きまとう。でもそれがテーパリングというもの。
絶対に避けたいのは疲れた状態でスタートラインに立つこと。本当に何かしなきゃいられない場合は、ヨガで体を満足させよう。
3.食習慣を変える
本番に近づくに連れ、とてつもない自己最高記録を出したあの人の秘密はコレだった、と見聞きしたものを試してみたくもなる。
まだ試したことがないなら、その時に試すべきではないそう。エナジージェルや日々の食習慣に大きな変化を与えるには、大会が近すぎるから。
4.フォームローラーの使い過ぎ
怪我をしているなら、フォームローラーを使って問題を解決しようと思うかもしれない。
残念ながら、腫れがある場合にはフォームローラーはお勧めできない。代わりにアイシングをし、抗炎症薬を飲み、休むこと。
5.怪我をしながら走る
怪我をしているのに走るのは決して名案ではない。“マラノイア”(直前で災難が起きると裏付けなく信じ込み、不安でいっぱいの精神状態)を食い止めるために、数キロ余分に走ろうとしないこと。休みを取り、負担の少ないワークアウトをしたほうが断然良い。
6.自分と他人のテーパリングを比較する
トレーニングプランが人によって異なるように、テーパリングも人それぞれ。テーパリングの原則は、本番を生き生きとしたコンディションで迎えるためにトレーニング量を着実に減らすこと。
体調の良し悪しや怪我の有無によって、本番一週間前の週末の最後の走り込みは1~2時間以内で行おう。
7.直前にマッサージを受ける
筋肉のこわばりは、誰かにお金を払ってでもやわらげてもらいたい気分になる。
筋肉の深い部分に働きかける深部組織スポーツマッサージは、問題の箇所を緩めるのにとても効果的だけれど、シモーンのアドバイスはマッサージからの回復に3~4日は見積もること。これによって大切な日までに筋肉を癒やし、正常な状態に戻すことができる。
時間に余裕をもって予約できない場合は、療法士にあなたのレーススケジュールを知らせて、回復時間についても十分に話し合っておこう。
Text:Francesca Menato Translation:Ai Igamoto Photo:Getty Images