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ケトン体ダイエットとは炭水化物をカットして、ヘルシーな脂質を大量に摂る、かなり大変な食事法。人気のダイエットではあるけれど、挫折する人も多い。また、栄養素が偏ったり、便秘になりやすいという声も。そこで、この食事法をよりブラッシュアップするための方法を、人気の栄養士に聞いてみた。トレンドでもあるケトン体ダイエットの最前線に迫る!

ハードにも思える、ケトン体ダイエットの食事法を実践できる人は称賛に値する。そう、ケトン体ダイエットには非常に制限が多いため、続かない人がほとんど。しかも、この制限によって“不都合なこと”が起きることも。

「ケトン体ダイエットでは、特に食物繊維とカリウムといった、体が必要とする多くの栄養素が摂取できない」 と語るのは、『Healing Superfoods for Anti-Aging: Stay Younger, Live Longer』の著者で管理栄養士のカレン・アンセル。「同時に、ケトン体ダイエットでは心臓に悪い飽和脂肪をたっぷり摂取するし、エネルギー源である炭水化物が体から奪われてしまう」

それでも、ケトン体ダイエットのルールの中には、目標体重に到達するのを助けてくれるものがある。高脂質の食生活には賛同できないとしても、ケトン体ダイエットから盗むべきテクニックとは?

1.細心の注意を払うべき栄養素、炭水化物。でも摂り方次第!

ケトン体ダイエットは、炭水化物の摂取量を制限しないと成り立たない。それに、私たちのほとんどは、炭水化物がいっぱいの加工食品を食べすぎている。管理栄養士のマリサ・ムーアは、「ケトン体ダイエットのような食事法は、特定の食材をカットすることで体重を全体的に減らし、健康の改善を促すものよ」と指摘する。

ケトン体ダイエットでは炭水化物の主要供給源がほとんどカットされるけれど、アンセルとムーアは、「玄米やオーツのようなヘルシーな全粒穀物は継続して楽しみつつ、加工された炭水化物 であるクラッカーやクッキーなどをカットするべき」と言う。

でも、分量には注意を払って。米国農務省は、30グラムの全粒穀物を1日5~6食分 (1食分は全粒パン1切れ程度) を摂取することを勧めている。パスタやご飯ものにスパゲティスクワッシュ(金糸瓜)やズッキーニを加えて、 炭水化物に使ったお金以上のメリットを得よう。

2.油=悪じゃない。「正しいタイプの脂質」はむしろ摂るべき!

管理栄養士のクリステン・マンチネルリいわく、「脂質が悪評を買うのは理不尽なこと。むしろ、脂質は他の栄養素よりも消化に時間がかかるので、摂れば早く満腹になる。しかもそれが、長続きする」

でも、すべての脂質が体にいいわけではない。食肉と乳製品に含まれる飽和脂肪は、かつて言われていたほど“悪”ではないけれど、米国心臓協会をはじめとする保健機関のほとんどは、飽和脂肪を1日13グラムまでに抑えることを勧めている。

しかし、栄養士の大多数は「アボカドやオリーブオイルなどの植物性食品に含まれる一価不飽和脂肪をもっと重点的に摂るべき」と声をそろえる。というのも、健康にいいといわれる“地中海の食生活”の要素でもある一価不飽和脂肪は、心臓の健康に良いとされれているからだ。

「チップスなどの代わりに、1日ひとつかみのナッツをスナックにしてみて。アボカドでクリーミーなデザートやソースを作って、野菜ソテーやサラダドレッシングにオリーブオイルをたっぷり使うのがおすすめ」と、ムーア。

3.万年ベジタブル不足の現代人。増やすべきは「デンプン質ではない野菜」!

ムーアいわく、 「成人のほとんどは野菜が不足している」 ので、管理栄養士としては、ケトン体ダイエットを実践してブロッコリーやアスパラガス、ほうれん草といった非デンプン質の野菜を人々に食べてほしいそう。

アンセルによると、「非デンプン質の野菜は、消化管に必要な食物繊維の供給源」。「しかも、ほとんどの野菜は極めて少ないカロリーでおなかを満たしてくれるので、日常的に野菜を食べる人はたいていBMI値が低い」とムーアも語る。

栄養士に言わせれば野菜を食べすぎることはまずないので、食事の度に少なくとも1カップ分は食べるようにしよう。

4.「一時的な断食」を試す。習慣化した食事内容も再検討!

インターミッテントファスティング=一時的な断食は、ケトン体ダイエットを行う人の中で大ブームになっているという。極端にも思えるが、この最も人気のある断食メソッドでは16時間断食をするので、食べる時間が日中に8時間もある。例えば、午前10時から午後6時だ。

マンチネルリによると「断食中、体は貯蓄された炭水化物……グルコースとグリコーゲンを全て燃やし、エネルギーとして脂肪を燃やし始める」

でも、それ以前に 「インターミッテントファスティングでは、何をどうして食べているのかを考えさせられる」 と、ムーアは語る。 例えば、午後3時のおやつは本当に必要なのか、習慣化しているから食べているだけなのでは、と分析するようになると言う。

5.アレンジ自由自在。自炊のメリットを最大限に生かせる!

食べてはいけないものが多いので、ケトン体ダイエットを行うと嫌でも家で食べることが多くなる。マンチネルリもムーアも「レストランで、どれだけの油と砂糖が使われているかは分からない。多くの場合、味付けに必要な量以上が使われていると思う。だから、自炊が増えるのはいいこと」と。自炊のメリットを語る。

自炊なら材料の量を調整したり、アレンジできる。「野菜の量を増やしたり、油の代わりにスパイスを使って風味を出したり」と、ムーア。

6.ケトン体ダイエットの「穴」を埋める。その鍵は発酵食品

全粒穀物やフルーツのような食材から重要である食物繊維を摂らずにいると、お通じが悪くなる。ケトン体ダイエットをすると便秘になる、という不満の声もあるようだ。

そこで役に立つのが、発酵野菜。ムーアによると、発酵野菜はプロバイオティクスとして働き、腸内の善玉菌をサポートして便秘を防いでくれるので、ケトン体ダイエットでは人気の食材。

キムチやザワークラウト、ピクルスなどの野菜を食事にもっと取り入れてみよう。ケフィアやヨーグルトも、発酵されていないものもあるけれど、プロバイオティクスの優秀な供給源だ。

※この記事は当初、アメリカ版ウィメンズヘルスに掲載されました。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Colleen de BellefondsTranslation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。